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2011
10 . 25

イギリス看護師の実際の仕事の役割と流れ


日本は台風が通り過ぎた後、急に寒くなったと聞きましたが皆様いかがお過ごしですか?台風で被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。

イギリスはこの週末まで10月とは思えないようないいお天気で、気温は30度近くまで上がりました。我が家も最後の夏日を楽しもうと、BBQをしたり、花壇に球根を植えたり、テムズ川沿いをお散歩したりと大忙しでした。今週に入って、またイギリスらしくドンヨリなお天気。数日前まで半そでだったのに、今日はダウンのジャケットを着てお出かけしました。

さて、今回いただいたお題は「イギリス看護師の実際の仕事の役割と流れについて」。 自己紹介にも挙げましたが、私は今まで「ナーシングホーム(老人施設)」「国立病院のPICU」「治験病棟」で働きましたので、それぞれの施設ごとに仕事内容をご紹介したいと思います。「イギリスと日本での看護師の役割の大きな違いは?」と言われますと、正直申し上げると内容はほぼ同じかと思います。

「ナーシングホーム」では、入居者の薬の管理や医療的処置(褥瘡の処置・経管栄養・カテーテルの管理)、かかりつけ医による往診のアシスト、緊急時の対応など。施設によると思いますが、私の働いていたホームでは看護師も積極的に生活援助のケアにも参加し、ケアアシスタントのスタッフと一緒になって働いていました。 「国立病院のPICU」では、循環器疾患を持つ患児(新生児も含む)の術後の管理が主でした。基本的に呼吸器がついていれば1対1看護。私が日本のNICUで働いていたときは、呼吸器2-3台を同時に看ていたため、一対一というのは、とっても恵まれているように感じました。仕事の内容は、日本とほぼ同じで、ドクターの指示のもと、術後の管理と処置、薬の投薬、他の医療チームとの情報交換、両親への説明などなど。

ただひとつ言える日本との違いは、ドクターの指示の出し方です。 これも施設によるのかもしれませんが、私の働いた日本の病院では、ドクターの指示は細かくはっきりしたものでした。たとえば、「今日、呼吸器から離脱させるプラン」であるとき、日本だと離脱に向けて、ドクターが細かく呼吸器の設定を指示したり、あるいはドクター自身が呼吸器の設定を変えにきていました。

しかし、イギリスの病院では「今日は呼吸器から離脱させるから、○時には離脱できるくらいの設定まで下げといてください」と。 だから、看護師は自分の判断で患者の状態と血液ガス値を見ながら呼吸器の設定を下げていきます。「もう離脱できるな」と思ったとところでドクターを呼び、OKがでたらドクターと一緒に抜管の処置を行います。(時には、ベテラン看護師の指示の元、看護師だけで抜管処置をすることもあります)。

薬の指示の仕方も、日本では「○○を5mg(2.5ml)、6時・14時・22時」と細かく指示が出されていましたが、イギリスの場合「○○を5mg、TDS(一日3回の意味)」と指示され、看護師自身が薬品の希釈にあわせ計算して自分で何ミリリットル投与するか計算し、何時に与えるか処方箋に書き込みます。そういう意味では、看護師が主体となって動くことが多いように思います。

そして最後に「治験病棟」での仕事内容は、治験ボランティアさんへの通訳、治験薬の投与、投与後のバイタルチェック、ドクターとの連絡、緊急時の対応、データーの入力、治験前後の健康診断など。 日本の治験病棟で働いたことはないので、こればかりは比較できませんが、仕事内容は半分看護師、半分検査課というところでしょうか?採取した検体を遠心器にかけ、ピペットで取り分けて冷凍保存したり、ひたすらデーターをパソコンに打ち込んだり、普通の病棟看護師ではできない仕事がたくさんありました。

「3つの職場の仕事の流れは」は申しますと、どの病棟も2交代です。朝8時に始まって夜の8時までが日勤。夜の8時から朝の8時までが夜勤。もちろん申し送りがありますので、8時より15分ほど早く出勤し申し送りを受けます。余談ですが、イギリスには「サービス残業・早出」なんてものは絶対にありません。15分早く出勤するので、ちゃんと15分の「Unsocial hours Payments」が支払われます。 休憩時間は合計1時間。15分のお茶タイムが2回と30分のご飯タイムです。いつ休憩時間をとるかは、職場の状況に合わせて、時間を見計らって・・・というのは、日本と同じではないでしょうか?

色々述べてきましたが、私が日本で働いていたのは、もう10年ほど前の話ですから、今は状況がかわってるかもしれません。 皆様から今の日本の看護事情、いつか聞かせてくださいね。10年一昔ですから!

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美鈴のLONDON日記

一口に“看護師さん”と言っても、その活躍の場は本当に様々。 いろんな業界、いろんな世界に活躍の場が広がる“看護師さん”ですが、 国境を越えて、世界を舞台に活躍されている看護師さんも少なくありません。 このコーナーでは、そんな海外に自分の活躍の場を見つけ頑張っている“看護師さん”に、日本の看護との違いなどを海外生活の日常を交えながら紹介していただきます。

著者プロフィール

筆者:中山美鈴

  • 1997年 総合病院(日本)に就職(専門は小児看護)
  • 2003年 同病院を退職し、渡英語学学校で英語を学び、ロンドン郊外の施設でボランティアなどを行う
  • 2004年 英国での看護師免許を取得のためにロンドン市内のナーシングホームに就職
  • 2005年 資格取得後、ロンドン市内の病院に就職し、3年間勤務
  • 2009年 退職後は、日系治験会社の治験病棟で勤務
  • 2010年 出産のため、産休を取得
  • 現在 退職し、子育てに奮闘中