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2012
1 . 19

イギリスの医療制度


日本も寒さが厳しくなったと聞いておりますが、いかがお過ごしですか? ロンドンも、寒くお天気が悪い日が多くなってきました。 先日は、まるでミルクビンの中に浸かってしまったような霧の濃い日が続きました。 冬のロンドンに霧はとっても似合いますが、あまりにも凄い霧でヒースロー発着の便に影響がでたようです。

さて、お蔭様でこのコラムも5回目となりました。 今回のお題は「イギリスの医療制度」について。

イギリスの医療制度は、日本の医療制度と随分違います。 まず、基本的に医療費は無料であること。(歯科を除く)(薬代一部自己負担) これは、National Health Service(NHS)というサービスで成り立っており、税金とは別に国民が納めたNational insurance(国民保険)から予算がまわされ運営されています。

だからといって、National Insuranceを払っている人のみがそのサービスを受けられるというわけではなく、学生であれ、無職であれ、外国人であれ(旅行者は対象外の場合あり)、誰でも無料で受けられます。 風邪で近くの診療所にかかるのはもちろん、怪我をして救急車を呼んで救急外来にかかっても、心臓病で臓器移植が必要でも、すべて無料です。

病気のときだけではありません。 妊婦検診、出産や不妊治療(年齢制限・回数制限あり)はもちろん、避妊用のピルの処方、喫煙をやめるためのニコチンパットの処方までまで。 乳幼児の健診や予防接種も無料です。

では、病気になったときに、どうやってお医者様に見てもらうかというと。 まず、地域の町医者(GP-General practiceの略)に登録します。 GPは自分の地域の中にある一番近くのGPに登録します。

たとえば、「腹痛がある」という場合、まず自分が登録しているGPに行き診察を受けます。 もしGPで対処できるような小さな病気の場合、GPで処方してもらった処方箋を近くの薬局にもって行き、薬代を払って薬を受け取ります。 もし再診が必要であれば、また予約をとってGPで診てもらいます。

しかし、もしもGPでは対処できない大きな病気や特別な検査が必要な場合、NHSの経営する国立の病院に紹介され、専門医に診てもらいます。 ですから、「耳が痛い」とか「突き指をした」と、はっきり自分で必要な専門医がわかっている場合でも、まずは自分の登録しているGPにかかり、そこから紹介してもらう必要があります。

それでは、NHSの経営する以外のプライベートの病院はないのか?と申しますと、ちゃんとあります。 NHSではないので、もちろん医療費はすべて自己負担となりますが、待ち時間が少ないことや治療内容や専門医を自分で選べるというメリットがあります。 とはいっても、やはりプライベートの病院で治療を受けるのは高額ですから、治療を受ける方は裕福な方や勤め先の企業か社員ベネフィットとして加入しているプライベートの医療保険をつかって病院にかかる方が多いと思います。

イギリスの医療は無料でありがたいですが、かかえる問題はどの国も同じ「医療費不足」。 日本以上に深刻な医療費不足で、スタッフや病院の数が減らされ、治療を受ける待ち時間が長かったり、必要な治療を受けられないというケースもあります。

その反面、一部の人による麻薬接種や過剰飲酒によって救急外来がパンク状態だったり、国民の健康管理がおろそかになりがちなのが事実です。 誰にでも、わけ隔てなく無料で医療を提供するイギリスのシステムは素晴らしいものだと思います。ですから、普段の自己管理をしっかりして、医療サービスの乱用がないように、国民一人ひとりがしっかりした意識を持つことが大切だと思います。

美鈴のLONDON日記

一口に“看護師さん”と言っても、その活躍の場は本当に様々。 いろんな業界、いろんな世界に活躍の場が広がる“看護師さん”ですが、 国境を越えて、世界を舞台に活躍されている看護師さんも少なくありません。 このコーナーでは、そんな海外に自分の活躍の場を見つけ頑張っている“看護師さん”に、日本の看護との違いなどを海外生活の日常を交えながら紹介していただきます。

著者プロフィール

筆者:中山美鈴

  • 1997年 総合病院(日本)に就職(専門は小児看護)
  • 2003年 同病院を退職し、渡英語学学校で英語を学び、ロンドン郊外の施設でボランティアなどを行う
  • 2004年 英国での看護師免許を取得のためにロンドン市内のナーシングホームに就職
  • 2005年 資格取得後、ロンドン市内の病院に就職し、3年間勤務
  • 2009年 退職後は、日系治験会社の治験病棟で勤務
  • 2010年 出産のため、産休を取得
  • 現在 退職し、子育てに奮闘中